2008年8月20日水曜日

無料野外映画祭
























野外音楽祭、というのは知っていたが野外映画祭があるとは初耳だった。仲良しのKさんから「シティーホールの中庭で無料映画鑑賞会があるから一緒に行かない?」とお誘いを受け、字幕がないとキビシいなあと思いつつ興味が先に立ち「じゃあいってみましょっか」と返信。

ホームページをチェックすると『Movies Under Penn』と題うって、

blanket or lawn chair, bring the family and friends and head to City Hall courtyard four Fridays this summer to catch a movie under Billy Penn, during the City Hall Film Series. All films are FREE and open to the public and begin at approximately 8:30pm. No alcohol or pets are allowed.
(敷物やローンチェアを持参して、家族や友人をお誘い合わせの上、シティーホールの中庭、ウィリアム・ペン像の足下でこの夏の金曜日4回に分けて開催される映画祭に参加しましょう。映画は全部無料で一般公開されており、だいたい8:30頃スタート。アルコール類とペットは持ち込み禁止)

July 11 - Italian Job
July 25 - Priscilla, Queen of the Desert
August 15 - Unbreakable
August 29 - Invincible

とのこと。もう前半は終了していたし29日も先のことなので、地元フィラデルフィア出身の映画監督M・ナイト・シャマランの『Unbreakable』(2000年)を鑑賞することに。そのまま『アンブレイカブル』として日本でも公開されていたようだが、この人の作品は『シックス・センス』以外観たことがない。地元で撮影をすることで有名な監督だから、近所の風景が出てくるかもね程度の認識で何も調べず出かけた。

夜はサンダーストームの可能性ありというイヤーな天気予報。降ってきたらとっとと退散し家で飲み直そうと心に誓い、会場につくとそこには巨大なスクリーンとスピーカー、その前には階段式の簡易客席が用意されていた。ポップコーンの小さな屋台も出ている。観客はまばらだったが、始まる頃にはかなりの人数に。みんな何かかしら持ち込んで口をもぐもぐさせている。

映画は予定時間をだいぶ過ぎてからスタート。スクリーンの裏から照射している。空はすっかり暗くなり、気温はぐーんと下がってきた。屋外なので街の雑踏や車のライトが時折、音声や画像をかき消す。特にけたたましいパトカーのサイレンと点滅する赤ランプ、頭上をバラバラと行き来するヘリコプターには閉口した。が、『シックスセンス』によく似た静かな恐怖を淡々と煽る映画なので、夜気も街のノイズも渾然一体となって迫ってくる。

突然くしゃみが止まらなくなる黒人のおじさん。彼にうるせーよとでも言っているであろうあんたの声がまたうるさいよ。別の黒人のおじさん。どっと会場は笑いの渦に。だがなにが笑いのツボだったのかさっぱり分からず。ブルース・ウィルスはずっと困った顔をしている。彼の息子役の少年はハーレイ・ジョエル・オスメントには及ばないものの似たような淋しさを漂わせ、サミュエル・L・ジャクソンは満身創痍でとうとう駅の階段から落ちた。OH!! と会場が痛みを共有。

あちこちに気が散りながら、内容も今イチ分かったり分からなくなったり。重くたれ込めた雲からはいつ降ってきてもおかしくない。外気はますます落ちこみ、鳥肌で覆い尽くされた二の腕は恐怖のせいではなく、寒さのため。見かねたKさんは親切にカーディガンを貸してくれた。私は髪が長いから大丈夫って、本当に優しい。すかさず好意に甘える。

そうこうしているうちに、映画は終了。どんでん返しも『シックスセンス』ほどではなく、大物俳優を配しているのにB級映画の感が拭えないのは作品のせいか、私が集中できなかったせいなのか。もやもやと消化できないものを抱え、むしろ映画より観客を観察していた方が面白かったぜと思ったところで吹っ切れた。自宅でKさんとモヒートを2杯飲んでおやすみなさい。

後日、やはり映画に登場したブルース・ウィルスが警備員を勤めるスタジアムはペンシルベニア大学構内のフランクリン・フィールドで、サミュエル・L・ジャクソンが激しく転倒、落下したのはSEPTAのユニバーシティ・ステーションだったことが判明。いずれも近所。よく見ている風景だった。

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