2015年8月22日土曜日

スペインレポート1/ピレネー山脈を歩く



ご無沙汰しております。お元気でしょうか?

私はいま、夫の故郷スペインを旅行中です。ただただ仕事に謀殺されるニューヨークの生活より、はるかに発見の多い豊かな時間を過ごしておりますので、スペインから何回かリポートをお送りします。

数日前にはフランスとの国境境にあるピレネー山脈で、夫の友人らとハイキングをしてきました。2日連続で違うルート。1日目のルートは「Ibones de Ordicuso」(標高2100m)、2日目のルートは「Pico Pazino」(標高2000m)でした。

大自然の豊かな美しさ、カラフルさに圧倒され、ときおり野生のヤギやクマ、イノシシなどの落とし物の臭いが漂うものの、それを込みにしても空気が美味しく、遠くから聞こえるカウベルのガランゴロンという音色が心地よく、頬をなでる風が優しく、この世のものとは思えない幸せと穏やかな心に満たされました。アウトドア派ではないのですが、これをきっかけに山登りに目覚めそうです。

結婚前のことですが、ホームシックにかかった夫が、ワインを飲みながらピレネー山脈の写真を見て「山へ行きたい。山は本当に美しいんだ」涙を流しているのを見たことがあります。また私が仕事のストレスでパニックになっていると、「ほら山の大自然を想像してごらん。些細なストレスなんか忘れちゃう美しさでしょう」と励まされたことも、多々あります。山に対してそこまでの感情をいだいたことのない私は、一体この人は何を言っているのだろうと不謹慎にも笑ってしまったことがあるのですが、一度登ってみると、彼の言わんとするところが多少分かったように感じました。

私にとってこの風景は、山は違えど映画「サウンド・オブ・ミュージック」で、トラップ一家が徒歩で山を越えて逃亡先のスイスへと向かうシーンを思い出すものでした。頭の中ではエンドレスで「Climb Every Mountain(すべての山に登れ)」が流れていたのですが、夫にとっては「ロード・オブ・ザ・リング」のイメージの方が近いようです。

今回は山ボーイである夫のルーツを一つ一つたどる旅となりました。ちなみに日本では一時期(今もでしょうか?)ファッショナブルなアウトドア服を身につけて山登りをする「山ガール」が流行ったそうですね。実際に見た事がないのですが、ピレネー山脈には多分いなかったと思います。ちなみに私がお世話になったのはユニクロのヒートテック。山って、夏でも寒いのですね。