2009年12月27日日曜日

Christmas in NY




ニューヨークを舞台にしたクリスマスソングがないかと探してみたところ、なかなか興味深い曲を発見しました。アイリッシュ系ロック・バンド「The Pogues(ポーグス)」が1987年にリリースした、「The Fairytale of New York」(邦題:ニューヨークの夢)。アイルランド民謡をロックテイストにした楽曲とでも言えばよいのでしょうか? アイルランドからの移民カップルが、ニューヨークへ来て夢いっぱいラブラブだったころの歌詞で綴られる1番、時を経て夢破れ罵り合う醜いカップルとなった様子が歌われる2番。人ごととは思えません(笑)。



英語の歌詞と対訳は、すでに色々な方がお書きになっているので、その1つとしてこちらをご覧いただきたいのですが、
http://www.dcns.ne.jp/~hitoshib/Bar-Chandler/pogu.htm
やはり、後半の罵り合いが最高です。私も最初はいい曲だなあとしみじみ聞いていて、

You're a bum
You're a punk
You're an old slut on junk
Lying there almost dead on a drip in that bed

あたりになって、なんじゃこの曲と吹き出してしまいました。このあたりの汚いスラングはビジネスでは使えませんが、実際の生活ではよく聞きますね。

オンナの方が
I could have been someone
Well so could anyone
You took my dreams from me
When I first found you
「俺には明るい未来があったはずなのに。そんなこと誰だって言えるわ
最初に知り会ったときにあなたは私の夢を持って行っちゃったのよ」

と嘆き、それにオトコが
I kept them with me babe
I put them with my own
Can't make it all alone
I've built my dreams around you
「その夢を俺は今でも大事に預かってるよ。自分のと一緒にな
俺は一人では生きられないし、夢だって君がいたから持てたんだ」

とか言うあたりもまた、微笑ましいというか、「オトコはこれだから甘いのよね〜。まったく現実が見えちゃいないんだから」と言いたくなるといいますか(笑)。

ちなみに歌詞にもでてくるNYPDはNew York City Police Department(ニューヨーク市警)の略で、MTA(Metropolitan Transportation Authority :ニューヨークの地下鉄とバスを運営している機関)と同じくらいニュースに頻繁に出てきて、そのままNYPDとして使われます。

"夢破れて山河あり"(本当は国破れて山河ありですよ)、ならぬ夢破れても摩天楼は輝くニューヨークから、クリスマスの光景をお届けします。

遅ればせながら

Merry Christmas!!

2009年12月16日水曜日

深夜のタクシーあれこれ


アメリカ人のタクシー運転手というものを、見たことがありません。いるのかしら? 彼らのほとんどが移民たちです。

彼らとの会話もなかなか楽しいものですが、時には…。
同僚の男性編集者は、深夜に利用したのタクシーの運転手がイタリア人のかなり年配のおばさんだったと言っていました。
「あんた、まだ独身なの? 結婚しないとダメよ」
と説教されながら帰ったそうです。そのまま知人を紹介してもらって、イタリア娘と結婚したら面白かったのに。

1カ月くらい前に私が利用したタクシーの運転手は、モナコ出身と言っていました。私を大いに気に入り、会計時に「君のアクセントはかわいい。電話番号を教えてくれ。近所に住んでいるから今度コーヒーでも飲もう」と誘われ、閉口しましたね。怒らせて急発進でもしてさらわれたらどうしようと、あまり強気でNOと言えず、かるいパニックに陥ったあげく
「Sorry. I have a family.」
と言ってしまい、翌日会社でその話をして同僚たちに失笑されました。「ファミリーって大きくでたもんだね。ボーイフレンドがいるからダメって言えば簡単だったのに」って。そうですよね(笑)。

先日利用したタクシーの運転手は、ガーナ出身だと言っていました。ブロンクス周辺にはガーナ人が多く住んでいるそうです。随分と出版業界に詳しいガーナ人で、色々と仕事の話もしました。
「ガーナかあ。行ったことないなあアフリカは」
と言ったら
「そうかい、じゃあ連れて行ってあげるよ」
オイオイ、またスキを見せてしまったぜと焦り、冗談で返そうと
「タクシーで?」
と言ったところ、大真面目に
「JFK空港から8時間さ。日本はもっと遠いんだろう」
って。深夜の妄想はどんどん膨らみ、このままJFK空港へ連れて行かれ、そこに人買いの組織が彼を待っており、ガーナへ売り飛ばされるんだわ。わたし。と真剣に悩みました。まあ、そんなことは起きなかったので、いまこうして書けるわけです。

写真はロックフェラーセンターのクリスマスツリーです。雨の日に撮ったので冴えませんなあ。

2009年12月7日月曜日

傘とゲイとの関係

この土日は久しぶりに完全に休みを取ることができました。締切が迫るのに、なかなか記事をまとめることができず苦しい数週間でした。3ページに渡る巻頭特集。数週間おきに担当が回ってきて、リサーチ、構成、取材、執筆、校正の全てを一手に引き受けるのですが、軸になる「何をどう伝えたいのか」という部分が固まらずブレ続け、そんなものに価値が果たしてあるのか、という自問自答に悩まされ、眠れず、書けず、責任の重さに潰されそうになりながら、まあなんとか発行にこぎ着けることができました。

出来上がった紙面とそれを読むであろう人々の反応を想像しながら、「やればできるじゃん」という安堵と、この恐怖がまたすぐ襲ってくるのだという、無限地獄に気が遠くなりそうになりながら、力が抜け、風邪を引きました。やれやれ。昨日はみぞれまじりの雪も降り、ニューヨークも一気に冷え込んできましたからねえ。

Responsibility means accepting the consequences of your actions.
辞書で見つけたこの例文が頭を離れません。
「責任とは、自分の行動の結果を受け入れることだ」

さて話は変わりますが、先日編集部の同僚と話をしていた時のことです。彼はニューヨーク州の北の方にある(彼いわく”北国”)の大学で、ジャーナリズムを専攻していたのですが、そこでは雨が降ろうと雪が降ろうと傘をささなかったそうです。なぜなら、傘をさしていると”ゲイ”呼ばわれされ、バカにされるから。これには編集部中が「えっ?」となりました。想像するに、随分と田舎の閉鎖的な社会だったのようですが、傘をさす=都会の洗練された人=ゲイ、という極めて単純な思考がそこにはあったようです。彼はニューヨークへ来て、男性が普通に傘をさして街を歩いていることが新鮮に映ったそうです。

私はフィラデルフィアからニューヨークへと、アメリカは大都会にしか住んだことがありません。どちらもゲイコミュニティーがしっかりしており、むしろ誇りをもってゲイであることを主張して生きていける環境ですが、まだまだちょっと田舎へ行くと、こういった差別的な意識が強いのだなと改めて感じました。

それにしても傘もさせないなんて…。キリスト教の思想が根底に流れるアメリカで、さらに田舎へ行けば行くほど敬虔な信者も多く、それゆえ子孫繁栄に全く貢献しないゲイであるということは、許し難いようです。また生理的な嫌悪感も想像を絶するほど強く、悪口や、罵り合いなどで「あいつはゲイだ」とか「お前、ゲイなんじゃないの」というような表現は耳にしますね。言われると相当カチンとくるみたいですし。「あの人ちょっとアレね」なんて、片手の指をそらして頬の前にかざし、オカマポーズで表現する日本って、なんて奥ゆかしいのかしらと思ってしまいます。(その分陰湿だという話もありますが)

一芸に秀でている人が多いのか、あるいはそういった環境が一番仕事がしやすいのか、ビューティー関係や、ダンス、演劇関係者にゲイの人は多いですね。そして、こざっぱりとしていておしゃれで、豊かな感性を持った人が多い。ゲイの友人がもっと欲しいです。一番いいのが、ゲイとなら恋愛沙汰に巻き込まれないこと(笑)。友人として楽しくつきあえる異性を探すというのは、実に難しい。ニューヨークでは特に、誰もがテンポラリーな恋人を探して、ガツガツしているので、楽しくつきあえて、しかも安全な男性の友人を見つけるのは至難の業です。

最近よく思うのですが、ほとんどのアメリカ人にとって、日本人の若い男性はゲイに見えるんだろうなあって。ひょろっとしていて、眉や髪や爪をいじって、女の子みたいな格好をして、さらに性欲も薄いときたら…。