2008年8月5日火曜日

シカゴ旅行2日目













シカゴ2日目。ますます活動的になる建築の旅。
本日はループエリア(中心街)から南へバスで約20分の郊外にあるハイドパークからスタート。シカゴの南はあまり治安が良くないのですが、ここはシカゴ大学のキャンパスを中心とした、緑豊かな閑静な住宅街で別天地。

ハイドパークまでわざわざ出向いた一番の目的は、フランク・ロイド・ライトの傑作『ロビー邸』。プレーリースタイルの代表作品として名高いこの建築。まず「プレーリースタイル」とはなんぞや、ということですよね。プレーリーはその名の通り大草原。ほらプレーリードッグとか、「大草原の小さな家」(Little House on the Prairie)とか。ライトは生まれ故郷のアメリカ中西部のウィスコンシン州に広がるプレーリーの広大な大地、自然の美しさから構想を得たのです。

プレーリー派の家の特徴は、傾斜のゆるやかな寄棟屋根、大きく張り出した庇などで水平線を強調したデザインにあります。また内部は間仕切りのない連続した構成になっています。低く見えますが実は3階建てで、2階のメインフロアは中央の暖炉を境にリビングルームとダイニングルームに分かれています。この二つの部屋は、ライトオリジナルの独特な幾何学模様が施されたアートグラスの窓で囲まれ、自然光を取り込み温かい空間を生み出しています。家具や調度品も全て彼のオリジナルで、いずれも直線的なシンプルなデザインになっており、当時はやっていた装飾過剰気味のビクトリア様式へのアンチテーゼとなっています。建物内部へはツアーで入れたのですが、写真撮影を禁止されていたためお見せできないのが残念です。

なんだか日本の建物に似ているなあと思われた方は、素晴らしいセンスをしています。ライトは1893年に開催されたコロンビア万博で日本館に展示されていた鳳凰堂に出会い、インスピレーションを受けます。その後浮世絵の収集をするなど、深く日本の建築様式から影響を受けているんですよね。

そうそう面白かったのが道を挟んで向かいにあったシカゴ大学の建物が『ロビー邸』を模して作られていたこと。ここまではガイドブックには載っていません(笑)。

午後はループエリアに戻って摩天楼の街を徒歩で回りました。ミース・ファンデル・ローエの「連邦政府センター」は、その正面に設置されたカルダーの彫刻「フラミンゴ」とのコントラストが実に美しくエロティック。

もう全ては紹介できませんが、見上げる摩天楼の迫力、手のひらで感じる壁の厚み、シアーズタワーから見下ろす街やミシガン湖の美しさは全て、いままだこうして私の肉体に宿り、強いエネルギーを発しています。血となり肉となり私を動かす力になっています。

一日の最後は、ミレニアム・パークにあるフランク・ゲーリーが手がけた野外音楽堂へ。ワインや食べ物を持参した市民がのんびりとピクニックディナーを楽しむ音楽堂前の芝生に寝転び、無料コンサートに耳を傾けながら濃くなる夕闇と輝く夜の摩天楼を見つめて第2日目は終わりを告げました。
明日はライトの設計した邸宅が26個も立ち並ぶ、彼の見本市のような街オークパークへ行ってきます。

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