2008年8月9日土曜日
シカゴ旅行3日目&4日目
シカゴ3日目はフランク・ロイド・ライトの前期建築の見本市のような郊外の街オークパークを訪れました。ダウンタウンの西、約16キロに位置するオークパークは、洗練されたデザインの個人住宅が手入れの行き届いた芝生とセットでたちならぶ閑静な高級住宅街です。この地はアーネスト・ヘミングウェイが少年期までを過ごした故郷としても有名です。
まずはフランク・ロイド・ライト邸宅と彼のスタジオの見学。こちらは内覧ツアーで参加しました。例によって内部の写真撮影は禁止されていてお見せできないのが残念です。切り妻屋根の2階建ての私邸はライト22歳の時の作品。彼の最初の妻キャサリンとの生活のために建て、その後6人の子供をもうけ1889 年〜 1909年まで、20年間ここで暮らしました。いわゆる彼のプレーリースタイル様式はまだここでは影を潜めています。が、その後の彼の建築に活かされる意匠の数々が細部に行き渡っています。特に広々とした子供部屋が印象的でした。利用する人間のサイズに合わせた設計を心がけたライトらしく、子供サイズで子供目線で作っています。入り口頭上に設けられた人形劇でもできそうな小さな舞台。こんな楽しい家で育てられた子供たちは幸せだっただろうにと想像を膨らませてしまいました。とは言え、ライトは1909年にクライアントの妻との不倫の果て、全てを捨ててドイツへ逃亡し、2年後の帰国後もこの家に住むことは二度となかったのですが。
その後は、個人個人で支給されたiPodから流れる説明を聞きながらオークパーク内のライト設計の家をめぐるオーディオツアーに参加。有り難いことに日本語版があったので、迷わず英語学習のチャンスを逃すことにしました(笑)。2時間の制限時間内に、ライト以外のその時代を象徴する家も含め20箇所を徒歩で回るという内容。さほど広範囲を回るわけではないのですが、暑さもあって制限時間ギリギリまでかかってしまいました。
彼の代表作の一つで、彼自身気に入って"私の小さな宝石箱"と呼んだという「ユニティ・テンプル」(1908年完成)には驚かされました。これが教会?というコンクリート製の小さな要塞のような箱型建築物。素材はコンクリートでも角度によっては古代ローマの神殿のようにも見え、物々しくはないにせよ強い意志の固まりというイメージ。当時ユニティテンプル側から提示された予算は $40,000 という低さ。与えられた土地も狭く、制限が多い中作られた建物だったのですね。宝石箱は「開けてビックリ」となるはず、内覧は別に申し込まないといけませんでしたので、とりあえずこのオーディオツアーを終了させてから再度見に行こうと思ったのですが、あいにくiPodを返却した瞬間に滝のような豪雨が。さっきまでは日射病になりそうな日差しだったのに。雨はしばらく降り続き、ロイド邸脇の観光案内所で立ち往生。小雨になった瞬間に電車の駅まで走り、ダウンタウンにやっと戻ることができました。残念。でもこれでまたシカゴを訪れる口実ができました。
最終日の4日目はシカゴ美術館を見学。門外不出の名作、スーラの『グランド・ジャネット島の日曜日の午後』や、ジョージア・オキーフのコレクションを堪能。
リラックスするための旅、というのももちろんいいのですが、私はどちらかというと予定をつめて動き回る方が好きです。シカゴ建築旅行はまさにその思いを貫徹したものとなりました。
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