2009年7月21日火曜日

発音の苦しみ

最近毎日のように発音練習をしているのが「シェリル・クロウ」こと「Sheryl Crow」。ご存知グラミー賞受賞経験も豊富な、アメリカを代表する歌姫の1人です。初めて彼女の名前をネイティブの前で発音した時、全く通じず渡米1年9ケ月にもなるのにと愕然としました。特にSherylの発音の難しさは尋常じゃない。何百回と練習しているのに、まだ満足のいく音が出ません。

ちなみにこれが正しい発音。
http://dictionary.reference.com/browse/Sheryl
(拡声器マークをクリックすると音が出ます)

英語の発音の難しさは舌の位置、唇の使い方、喉・口蓋などどこに力を入れて音を出すかなど、まったく日本語と違う構造にあるからなのですが、さらに音節ことシラブル(syllable)が全く異なる。日本語表記にしてしまうとシェ・リ・ルと母音が3つあり、それと同数の音節を無意識に作ってしまう。しかしSheryl を発音する場合は2つです。もう一つ例を出すと男性の名前の「ブラッド」(Brad)。これも日本語読みをすると音節は3つですが(モーラで数えると4モーラ)、英語では1つ。

新しい単語を覚える時はなるべく、スペルを確認しながら耳と目の両方でインプットするようにしています。なぜならイメージのなかで「Sheの発音は口をこう使い、その次にRが先にきて、Lは最後」と形作り、それに沿って発音しないと、意味とスペルと発音の回路が作れないからです。いくつかパターンができてくれば、次に似たようなアルファベットの組み合わせを見た時に、たぶんこんな感じで発音すれば通じるかしらと予測ができるから。

さらにこの「Sheryl」を我が意を得たとばかりに「シェロー」と言ってしまうとそれはそれで間違い。「ローとかオーなんて言っていないでしょう」と指摘されてしまいます。もっと喉の奥からこもったうなり声を出すイメージ。

まったく異なる楽器に自身を作り替えている最中なのだと思います。今までポンポンと叩けば音が出る木琴だったところを、オーボエやクラリネットといった木管楽器にトランスフォームしているような。

語学学習はスポーツと一緒だといつも思います。生まれつき俊足であるとか、瞬発力があるという恵まれた肉体の持ち主でなくても、筋肉の構造を理解し、それを強化するトレーニングをすることにより、鍛えられていきますよね。ただそこに私のネイティブ言語である「日本語」が邪魔をしてくるのです。日本語は無意識にでも話せてしまう。だからそのクセを無意識に英語にも持ち込んでしまうのですね。ですからそこを意識的に頭と口を動かさないと通じない。もちろん生まれもっての語学センスというのは大きく、運動神経が良い、悪いに匹敵するもので、私はとことんこのセンスがないのねえと思っていますが。昔っから音痴だったし…。

面白かったのが「worldという単語は発音できる?」と聞かれた時。聞いてきた彼は、カードにかかれた単語を一人一人読み上げる練習を幼稚園児だったころやらされ、苦手な「world」を引いてしまい上手く発音できず恥ずかしかったとのこと。日本語では知らない漢字が読めないということはありますが、振り仮名さえあれば誰でも音読することは可能。英語では「w・o・r・l・d」とスペルが分かったところで、その読みは訓練して刷りこんでいかないと、子供でも1回見ただけで発音できるものではない。確かにこれも良くみてみると「w」「r」「l」と発音の難しいアルファベットの組み合わせです。ただ私はこの単語で会話中につまずいた事はないので、たぶん通じる音が出せているのでしょう。

たった英語一つでこんなに苦しむのに、多言語を軽々と操る人はどういう作りになっているのでしょう。引き出しがいっぱいある方は本当に羨ましい。

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