2009年7月10日金曜日

病院にて、其の三

もう病院について書くのも終わりにしたいのですが、あまりにも想像を絶する日々なので。

もう実名を出しますと、Hahnemann University Hospitalです。ここ数週間私を悩ませているのは。どうしてもそこでしか精密検査を引き受けてくれないというので、嫌々行ってきました。

センターシティーの北の外れ。もう少し行くと治安がどんどんと悪くなる境界線のあたり。癌、耳鼻科、消化器系、高齢者医療、心臓病などなど、広範囲のサービスを提供する巨大病院で、病棟は新しく非常に立派。外見だけはねえ。

受付にたどり着くと、クジャクの羽のような色でまぶたを染めあげた、ニューハーフにしか見えない黒人のオバサンが、退屈そうに長い真っ赤な爪をいじっているではありませんか。彼女は座っているだけで、特に仕事をする気はないようで、背後から同僚が彼女の前の机の資料を取りにきた時には、椅子をずらすそぶりさえ見せません。

ようやく別の牛のような体型の黒人のオバサンが、ゴールドのド派手なアクセサリーをじゃらじゃら揺らしながらのっそりと現れ、私の名前を確認。なんどもこっちがファーストネームで、こっちがファミリーネームだと言うのに、すぐ混乱する。スペルも3回は確認。

そしてベンチで待つように言われ、しばし壁にかかったテレビでCNNのニュースを見つめる。マイケル・ジャクソンのニュースはもういいよ。不安はどんどんと募っていきます。私以外の患者は、全員似たような、安物の服を着た肥満体型の黒人ばかり。病院ですから仕方がないのでしょうが、みな無気力な惚けた顔で空虚を見つめています。

再度受付から呼ばれ、4番のブースに来いと。そこには先ほどのゴールドのアクセサリー、と短髪の白髪で覆われた先輩格の黒人のオバサンが待っており、にっこりと自己紹介。いまから患者登録をするからね、と。これがヒドかった。彼ら、私の個人情報を登録するだけで30分もかかったのです。ものすごーーーいいとろとろと、あーでもない、こーでもない、と言いながら、キーボードを指一本でカチャッ………カチャッ……、カチャッ……あっ間違えたわ、アハハハハ………とやっているのです。

「仕事はてきぱきと」とか「お待たせして申し訳ない」とか、そういった発想がいっさいないのです。そんなに時間がかかるんだったら、こっちが代わりに入力してあげたいと思うくらい。Lazy(怠惰)と言う以外、言葉が見つからない。

プリントアウトした書類を取りにいく動作もゾウガメのごとく、鈍い。気が遠くなりそうでした。時計を見たり、ため息をついたり、朝食抜きで来ているからお腹が空いたわと言って、プレッシャーをかけようしても、全く効果なし。悠然と微笑まれ、逆に気圧されしてしまいます。

なぜこんな仕事ぶりで給料がもらえるのだろう? 責任感なく、だ〜らだ〜らやっているから、私の予約の電話も無視したり、たらい回しにしたり、途中でメンドクサイと思って留守番電話につなげて逃げたりしたんだわと、怒りがグツグツと沸いてきて、頭から蒸気がシュポーっと出て汽笛が鳴りそう。やれるものだったらやってみたかったわ、スチーム係長みたいに。

検査そのものはスムーズに進み問題なかったのですが、(問題があるかどうかは結果の方ですね)それに至るまでの過程がもう…。結局病院に拘束された時間は2時間半。そのほとんどが待ち時間でした。

この日、やっと食事を口にできたのは午後5時半。その足でチャイナタウンのNan Zhou Hand-Drawn Noodle Houseへ直行し、ピーナッツソースの手打ち面3ドル、ワンタンスープ2ドルを、中国語の飛び交う、小汚い食堂でかき込みました。ここは安くて味も確か。オススメです。

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