我が社はお昼時になると、『フジケータリングサービス』の背の高い兄ちゃんが「弁当でーす」と売りにくる。日替わりでメニューで何種類か用意され、献立表も事前に配布されたり、ネットで見る事ができる。「豚の生姜焼き弁当」、「根菜入りハンバーグ」、「うな重弁当(けんちん汁つき)」、「北海道風みそバターラーメン」等々、なかなか凝っている。前もって注文する人もいるが、毎回少し多めに持ってきてくれるので、「今日は何が余っていますか?」と聞いて買う人も。他にも何カ所か回っているようで、雨の日には外出を控える人が多いため、余り分がない場合もある。昼休みは無いに等しい状況なので、この弁当屋タイムだけが、ピリピリしたムードがほっと和らぐ瞬間だ。6ドルから7ドルと値段も手頃。生活が不規則な編集部員たちは、ここで栄養補給をしている。
木曜日か金曜日になると「ビデオ屋さん」が現れる。宮藤官九郎をさらに不健康にした感じの兄ちゃんが、日本で放映されているドラマやお笑い番組、そしてアダルトものまで、DVDに焼いたものを売りにくる。メールで次回の注文票が届くので、こちらも事前注文する人が多い。やはりというか、お笑い番組が人気のようだ。1枚4ドル、3枚買うと1枚おまけとか、そんな値段設定だったような。私はたぶん今後も買わない。
営業部から「得意先から差し入れがありましたので給湯室に置いておきます。各自取って下さい」との一斉メールが。マルちゃんの「赤いきつね」と「緑のたぬき」に、伊藤園のお茶の缶だった。フィラデルフィアで働いていた時は、同様のメールでも山盛りのベーグルだったのに。
まだ入社して一週間ちょっとだが、どっぷりと日本社会に浸かってしまっている。約20人の社員は全員日本人。1人、2人インターンらしきアメリカ人もいるが、器用に「お疲れさまです」と言って帰っていく。こりゃ日本語しか使わないだろうと思っていたら、電話ではみなさん、営業から取材のアポ入れまで流暢な英語で対応しているではないか。考えてみれば、こちらの大学か大学院、少なくとも語学学校くらいは出ている人が就職する会社。
「あのお、決して私英語がペラペラというわけではないのですが…」
と近所の『牛角』で開催してくれた歓迎会で漏らしたところ(だいたい歓迎会があるという時点で、非常に日本的)
「えっ、話せるものと思って採用していますから」
とさらりと社長に返されてしまった。
ああああああああああああああああああうううううううう
そうですよね……
どうあがいても語学学校へ行く時間を捻出することなど不可能なので、通勤電車で今までにないくらい猛烈に英語を勉強している雅子なのでした。
フランス人の友達に「ニューヨークってさ、日本にいるのと全く変わらないんだよ」と言ったところ、「フランス人にとってはフランスと全く変わらないんですよ。それがニューヨーク。多国籍な街ですから」という事です。
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