2008年12月23日火曜日

働けど、働けど…

外から日本を見ると、今まで何とも思わなかった光景が異常に見えてきます。同時に画一的な視点でしかみていなかったアメリカ像が変わってくるのも興味深い体験です。

一週間くらい前、CNNのニュースで日本の過酷な労働状況について取り上げていました。正確な数値は覚えていませんが確か、25%のビジネスパーソンが午後9時前には帰宅しない。1/3の父親が子供の起きている顔を見ないというデータに愕然としてしまいました。不況下で死にものぐるいで働かないと家族を養えないという現状もありますが、やはりこれは異常です。取り上げられていたエンジニアの男性は、早朝家族が起きる前に出勤し、深夜にくたびれた顔で帰宅。専業主婦の妻は幼い子供の面倒を見る毎日。

私も東京にいた時は連日終電で帰宅でした。夕食を食べていないこともしょっちゅう。で、ストレスを家に持ち帰りたくないため近所のバーへ寄り、ベッドに転がり込むのは深夜2時以降。終電の中は疲弊しきった人々が紡ぎだす「無関心」か、酔っぱらいどうしの「小競り合い」果ては「大げんか」。嫌だなあと思いつつも、生きていくためにはどうしようもないと諦めの境地でした。

こういった話をアメリカ人の友人に話すと口を揃えて「異常だ」と。彼らは離婚率も高いですが、家族を大切にする気持ちは非常に強い。主人の職場(生物学の研究室)も5時くらいになるとみんなさっさと帰ってしまい、夜遅くまで残っていたり、休日まで出勤して働くのは日本人か韓国人のみとのこと。また既婚者が仕事後に一杯飲みにいくという習慣もあまりないようです。むしろ家に帰って子供の顔を見たいと。日本の父親たちは子供の顔を見たくないのでしょうか?

家に父親が不在だから子供が母親とベッタリになって、それが日本の男性にマザコンが多い原因じゃないの?となかなか鋭い指摘を受けてしまいました。精神的に脆弱な男性が多いのもそのせいかも。

結婚しているカップルの1/3がセックスレスというのも恐ろしい話ですよね。だったら離婚すればいいのにとよく言われます。でもそうもいかない。特に子供がいたら片親だと色々困難もあるでしょうと言ったら、幸せじゃない(セックスをしない=愛し合っていない、幸せじゃないという理屈)両親の元に育つくらいだったら、片親でもハッピーな方が子供にとっていいと思う、ですって。

ううむ。そうなのかなあ。そうなのかもしれないと最近思うようになってきました。現状維持というのが日本人は好きなのかもしれませんね。歪みが生じている関係を、見ないように維持してそのまま崩壊へと突き進んでゆく。個人間でも会社内でも、国の舵取りでも。変化を嫌う。いままでそれでやってきたから今更改革をすることにエネルギーを使いたくない。個人間では織り重ねた感情の綾が、社会や政治ではしがらみや既得権益が。

そして今日もくたびれ果てたビジネスパーソンたちが、終電で臭い息を吐きながら口をあけて寝ているに違いありません。もうその世界には戻れないなあと思うこのごろです。

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