2009年4月21日火曜日

But it's only a pipe dream.

4月20日は大麻サブカルチャーにおける特別な日である。カウンター・カルチャー的祝日ともされ、愛好者は集い摂取を楽しむ。4月20日が選ばれた理由は諸説あるが、1971年、カリフォルニアにあるサン・ラファエル高校の学生達が、放課後の4:20PMにパスツールの銅像の前に集まって吸っていたのが由来、というのが有力のようだ。

もちろんのこと大麻はアメリカ国内でも違法である。が、日本におけるそれとは全く扱いが違う。入手はいたって簡単だし、罪の意識も非常に低く、街を歩いていて独特の草っぽい匂いが漂ってくることも少なくない。「違法は違法だけど、大した問題ではない。むしろヘロインやアヘンに比べれば人体への害もほとんどない」という認識が圧倒的だ。罪も摂取そのものより、売人に課せられるものの方が遥かに重い。

メキシコの議会では密売組織を弱体化させるために、大麻を合法化してはどうかという議題が上った。オバマ大統領も先月のオンライン・タウンホールで「経済救済策として大麻を合法かするというのはどうか?」という主旨の発言をしてしまい、窮地に追い込まれた。

注)この箇所に関して「『経済救済策として大麻を合法かするというのはどうか?』というアイデアは、市民がオバマに尋ねたものであり、オバマは苦笑しつつも『良いアイデアではない』として却下したはずだ」とのご指摘がありました。読解不足をお詫びします。

そして先ほどNPR(National Public Radio)の放送を聞いていたところ、「もし大麻が合法化したらどうなるのか?」という仮説によるシナリオが描かれていて興味深かった。

大麻が合法化して2年の月日が過ぎ去った。アルコールと同じように21歳以上(アメリカの最低飲酒年齢は21歳)がライセンスを持った診療所からグラム単位で購入可能。課税対象商品となっている。幸せになった人も多いが…。と始まる。

著名なバラード歌手で、大麻通で知られるウィリー・ネルソン(76歳)は「賛否両論だね」と言う。「ムショにぶち込まれるこたあなくなったけど、おかげで古くからの売人仲間は仕事にあぶれちまってよ」

テキサス州オースティン。大麻合法化により、「オート・ウィリー」のようにかつては違法だった大麻用品販売店は取引が急増。マネジャーのダグ・ブラウンは、喫煙効果を和らげる円錐型の装置を指差し「これは高いよ。575ドルだ。入手困難でね」と言う。また彼は新規顧客に老人が多いことにも気がついている。「より富裕層、より楽しい人たちさ。大麻未経験だったけど合法化によって試してみようと決意したんだね」。

というように「架空の」事例が延々と続く。かつては密売組織が牛耳っていた大麻売買を、国家をあげて輸出戦略として売り出したメキシコ。だが合法化したとはいえ、コカインやヘロインといった違法薬物を密売する業者が後を絶たないという現状のリポートなど、なかなか真に迫っている。

NPRは最後にこう結んでいる。
「現時点では、合法化が大麻狂を発生させるか、単に人々にくつろいだ気分をもたらすかといった話題は、興味深い室内ゲームである。ただ、はかない希望に過ぎないが」(But it's only a pipe dream.)

番組ホームページのリスナーアンケートの調査によると、集計件数7,227件のうち、大麻合法化に賛成:91%、反対:4パーセント、賛成だが医療目的に限る:4%。

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