2009年10月9日金曜日

悲しみよさようなら

忙しい。猛烈に。
特集企画を考え、綿密なリサーチをし、取材のアポを入れ、外部ライターを回し、自分でも慣れない一眼レフを持って取材をし、原稿を書き、いくつも抱えた担当コーナーから常に新鮮な情報を発信し、信じられないくらい文字数オーバーして入稿される記名記事に外科手術を施し、校正作業やファクツチェックをし、紙面のレイアウトを引き、製作と相談し構成を考え…。
どんなに深夜遅くなっても、編集の仕事は終わらず、容赦なく締切はやってくる。

楽しい。猛烈に。
フィラデルフィアでの約2年は、アメリカに慣れるための準備期間と、疲弊した東京での生活からエスケープする長期休養だったのだと思う。充電期間は終わり機は熟した。今はチャレンジの時。ハードルが高いほど燃える。NYに来て1カ月足らずで、精悍な顔つきになってきた気がする。そう私の顔は変化が早い。数年前の写真を見ると、別人のよう。

NY在住の日本人は約6万人と聞いている。小さな世界だ。誰もが、もがき苦しみ、幸せも悲しみも抱えながら、前に進んでいる。というのを肌で感じる。読者が見える、そこに登場することがステータスになる。メイクアップアーティストも、弁護士も、起業家も、レストラン経営者も、医者も、ダンサーも、料理研究家も、ボランティア活動にいそしむ主婦も。たかがフリーの情報誌といえど、その内容の濃さと読者からの期待値の高さに、雑誌本来の姿を見る。「記事を読んだ人に、アクションを起こさせるのが目的」をいうコンセプトに、「面白くなければ広告は入らないが、クライアントのちょうちん記事は絶対に書かない」という方針に、1つ1つ賛同できる。

底を流れるやさしさがそこにはある。異国の地でともに生きているという連帯感が、私たちを支えている。ナショナリズムでもなんでもなく、必死に生きているというリアリティが。

そう、悲しみが去るのは驚くほど早かった。この世はあまりにも楽しいことが一杯で、悲しんでいる時間がもったいない!

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