甲斐田雅子のニューヨークリポート
甲斐田雅子のフィラデルフィアリポート改め、ニューヨークリポートへ
2011年9月29日木曜日
都会の鯨
意味という香りのする、時という名の魚の群は、美しい鱗を瞬かせながら冷酷なまでにす早く、わたしの肉体を通過し泳ぎ去る。
脳にかけた網を駆使して、「本当においしい」魚のみを引きずり戻そうとするが、例え無事手中に収めたとしても、咀嚼する間もなく、次なる魚群が押し寄せる。
慢性的な飢餓と胃もたれ。
魚群をかき分け水面に顔を出せば、かりそめの休息が待っている。
しかし所詮は鯨の潮吹き。再び暗く恐ろしいまでに滋養に満ちた海に戻る運命。
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