2010年8月23日月曜日

人生には音楽が必要だ

ブロードウェイミュージカル「シカゴ」ロンドン公演のヴェルマ・ケリー役などで知られる、女優兼歌手、ウテ・レンバー(Ute Lemper)のコンサート「The Bukowski Project」へ行ってきました。

それは単なるミュージックコンサートというより、朗読劇に近いものでした。タイトルにもあるように、アメリカの詩人で作家の、ヘンリー・チャールズ・ブコウスキー(Henry Charles Bukowskiの詩を読み上げたり、彼女が作詞作曲した歌を歌ったり。非常に多才な人という印象。

それは抜群の歌唱力とか、演技力とかそういったものではなく、何かが乗り移ったような凄みのある舞台でした。ブコウスキーの詩は難解で、彼女独自の解釈を加えたと思われる演出もあり、全体のイメージとしては、デカダンというかキャバレー的というか。ゆるゆると流れる煙草の煙と、瓶からラッパ飲みするウイスキーが似合う感じ。まあ会場となったヴィレッジにある「Joe's Pub」自体、そういった雰囲気を醸し出しているのですが。

ウテは同じドイツ人女優、マレーネ・ディートリッヒを彷彿させる美人なのですが、大柄で骨張った体躯や、高い眉骨や頬骨、目をカッと見開いたり、片方の口角をくいっとあげて皮肉めいた表情を見せるところなど、両性具有的な怪しくも高貴な魅力で見る者の魂を支配していきました。

舞台上ではこのプロジェクト及びツアー用に彼女が選んだ、ピアニスト、ベーシスト、ドラマーがサポート。ベースとなる音楽はジャズで、時折クラシック音楽も挿入される、完成度の高いパフォーマンスでした。特にピアノが良かった…。

コンサート後、ベーシストのスティーブ(友人です)と、ピアニストのバナ(Vana Gierig)、及び一緒鑑賞した日本人の友人と夕食を食べに。バナは初対面でしたが、非常に気さくな人で大いに打ち解け、話を聞いたところびっくり!

自身のトリオ「Vana Trio」も率いるドイツ人ジャスピアニストの彼は、かのフリードリヒ・グルダの愛弟子だったのです!! 誕生日も一緒で二人で祝ったこともあるとか。また日本にも何度もライブで訪れており、「ブルーノートやニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾にも出たよ」とのこと。

この”ニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾”を全く知らなかった私と友人に、彼は
「ほらマダラオって場所あるでしょう?」
「知らないよ」
「冬期オリンピックの会場の近くだよ」
「長野?」
「そうそう。有名なジャズフェスティバルなんだから。ニューポートって名前をつけたジャズ・フェスティバルは世界に3カ所しかなくってね…」
と、まったく怒りもせず丁寧に教えてくれました(申し訳ない)。

とても幸せな時間だったので、少しだけお裾分け。実際これらの曲はコンサートでは披露していないのですが…。

Ute LemperのAll That Jazz
http://www.youtube.com/watch?v=17SpgmurSok

Vana Gierigのピアノトリオ。インタビューもありプロモーション的なビデオです。私は彼のピアノの虜になりました…。
http://www.youtube.com/watch?v=4z1bYbPGoqU&feature=player_embedded

2 件のコメント:

Unknown さんのコメント...

素敵なクリップの紹介をありがとうございます。日本のそれとは比べ物にならない質を感じます。あまり教養のない僕が評する様なレベルではありませんが。^^。ところで、私は8月30日より9月26日で、福岡を出発、LA→NY→シカゴ→福岡の旅にでます。チャンスがあれば、NYでお会いできればと思いますが、ご迷惑でなければメールアドレスを教えていただけないでしょうか?hirofumi257@gmail.comでお待ちしています。

甲斐田雅子 Masako Kaida さんのコメント...

hirofumiさん
コメントありがとうございます。
メールお送りしました。
NYでお目にかかれるといいですね。
素敵な旅を。