ブロードウェイミュージカル「シカゴ」ロンドン公演のヴェルマ・ケリー役などで知られる、女優兼歌手、ウテ・レンバー(Ute Lemper)のコンサート「The Bukowski Project」へ行ってきました。
それは単なるミュージックコンサートというより、朗読劇に近いものでした。タイトルにもあるように、アメリカの詩人で作家の、ヘンリー・チャールズ・ブコウスキー(Henry Charles Bukowskiの詩を読み上げたり、彼女が作詞作曲した歌を歌ったり。非常に多才な人という印象。
それは抜群の歌唱力とか、演技力とかそういったものではなく、何かが乗り移ったような凄みのある舞台でした。ブコウスキーの詩は難解で、彼女独自の解釈を加えたと思われる演出もあり、全体のイメージとしては、デカダンというかキャバレー的というか。ゆるゆると流れる煙草の煙と、瓶からラッパ飲みするウイスキーが似合う感じ。まあ会場となったヴィレッジにある「Joe's Pub」自体、そういった雰囲気を醸し出しているのですが。
ウテは同じドイツ人女優、マレーネ・ディートリッヒを彷彿させる美人なのですが、大柄で骨張った体躯や、高い眉骨や頬骨、目をカッと見開いたり、片方の口角をくいっとあげて皮肉めいた表情を見せるところなど、両性具有的な怪しくも高貴な魅力で見る者の魂を支配していきました。
舞台上ではこのプロジェクト及びツアー用に彼女が選んだ、ピアニスト、ベーシスト、ドラマーがサポート。ベースとなる音楽はジャズで、時折クラシック音楽も挿入される、完成度の高いパフォーマンスでした。特にピアノが良かった…。
コンサート後、ベーシストのスティーブ(友人です)と、ピアニストのバナ(Vana Gierig)、及び一緒鑑賞した日本人の友人と夕食を食べに。バナは初対面でしたが、非常に気さくな人で大いに打ち解け、話を聞いたところびっくり!
自身のトリオ「Vana Trio」も率いるドイツ人ジャスピアニストの彼は、かのフリードリヒ・グルダの愛弟子だったのです!! 誕生日も一緒で二人で祝ったこともあるとか。また日本にも何度もライブで訪れており、「ブルーノートやニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾にも出たよ」とのこと。
この”ニューポート・ジャズ・フェスティバル・イン・斑尾”を全く知らなかった私と友人に、彼は
「ほらマダラオって場所あるでしょう?」
「知らないよ」
「冬期オリンピックの会場の近くだよ」
「長野?」
「そうそう。有名なジャズフェスティバルなんだから。ニューポートって名前をつけたジャズ・フェスティバルは世界に3カ所しかなくってね…」
と、まったく怒りもせず丁寧に教えてくれました(申し訳ない)。
とても幸せな時間だったので、少しだけお裾分け。実際これらの曲はコンサートでは披露していないのですが…。
Ute LemperのAll That Jazz
http://www.youtube.com/watch?v=17SpgmurSok
Vana Gierigのピアノトリオ。インタビューもありプロモーション的なビデオです。私は彼のピアノの虜になりました…。
http://www.youtube.com/watch?v=4z1bYbPGoqU&feature=player_embedded
2010年8月23日月曜日
2010年8月7日土曜日
この場所はかつて…?
日本でも猛暑が続いていると聞きました。皆様お元気でしょうか?
さて、ずっと温めていた企画が通り、ニューヨークの建築をテーマにした巻頭特集を手がけることができました。この「巻頭特集」は、私が編集者を勤める日系新聞のウリ。3ページに渡り、毎回違ったネタで、読者であるNY及びその近郊に在住の日本人の方が面白いと思って頂ける記事を提供するのです。
建築をテーマに、といっても切り口は様々ですが、私はその建築の歴史的変遷をNYの歴史と絡めて見せたかった。それもエンパイアーステートビルや、クライスラービルディング、ワールドトレードセンターのように、誰もが知っているような有名建築でなく、普段何気なく目にしているような建築が持つ物語を掘り起こしたかったのです。そしてその建築が改装を経て、用途を変えながら、今なおそこで息づいているというところに注目したかった。見せたかったのです。タイトルは「この場所はかつて…?」としました。
思い入れのある企画でしたので、リサーチ、インタビュー、執筆、写真撮影まで、全て1人でこなしました。
紙面とレイアウトは異なりますが、ネットにアップされた記事はこちらです。お読みいただければ幸いです。
http://www.ejapion.com/special/566/1/
http://www.ejapion.com/special/566/2
http://www.ejapion.com/special/566/3
もう8月ですね。お彼岸も近いなあ。私もそちらの岸に、時折戻りたくなります。
さて、ずっと温めていた企画が通り、ニューヨークの建築をテーマにした巻頭特集を手がけることができました。この「巻頭特集」は、私が編集者を勤める日系新聞のウリ。3ページに渡り、毎回違ったネタで、読者であるNY及びその近郊に在住の日本人の方が面白いと思って頂ける記事を提供するのです。
建築をテーマに、といっても切り口は様々ですが、私はその建築の歴史的変遷をNYの歴史と絡めて見せたかった。それもエンパイアーステートビルや、クライスラービルディング、ワールドトレードセンターのように、誰もが知っているような有名建築でなく、普段何気なく目にしているような建築が持つ物語を掘り起こしたかったのです。そしてその建築が改装を経て、用途を変えながら、今なおそこで息づいているというところに注目したかった。見せたかったのです。タイトルは「この場所はかつて…?」としました。
思い入れのある企画でしたので、リサーチ、インタビュー、執筆、写真撮影まで、全て1人でこなしました。
紙面とレイアウトは異なりますが、ネットにアップされた記事はこちらです。お読みいただければ幸いです。
http://www.ejapion.com/special/566/1/
http://www.ejapion.com/special/566/2
http://www.ejapion.com/special/566/3
もう8月ですね。お彼岸も近いなあ。私もそちらの岸に、時折戻りたくなります。
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